Tさんとの日々

ココCOLORねっと

コーディネーター・

お手伝い会員

 

渡辺 緑

 

Tさんとの日々

 

Tさんに初めてお会いしたのは、私がココCOLORねっとに入会してすぐの頃でした。

 

足が弱ってきた彼女から、買い物代行と洗濯物取入れの依頼があり、最初は月に~3度伺いました。お手伝いする度に『ありがとう』と必ずおっしゃられ、私も大きな声で応えていました。

 

お独り暮らしでしたので、その後は家事一般・書類整理・外出同行など生活面も支えるようになり、伺う回数は増していきました。気が強い彼女とぶつかることもありましたが、日々接しているうちに心が通い合い、私は自分の母親を介護しているような気がしていました。夕食の買い物を任されていましたので、毎日飽きないよう工夫もしましたが、美味しくないと言われることもしばしば。それでも『おいしいね』とたくさん食べていただいたときは、私もうれしくホッとしました。

 

昨年、帯状疱疹を患い気持ちも落ち込みベッドに横になる日が増え、足腰が一段と衰え介護度が要介護4になりました。最後まで自宅ですごしたいという希望に添い、私もヘルパー・看護師・ケアマネなどと連絡を取り毎日支え合い、90歳の誕生日には同僚のNさんとささやかなお祝いをしました。

 

今年に入りベッドから起き上がれなくなり、また認知症が進み在宅での介護が厳しくなり病院に入院後、施設に入居されました。その後の様子をケアマネさんが聞くと、施設になじめず、時折大声を出してあばれるそうです。彼女との5年間は私にとって介護の在り方を考えさせられる貴重な体験になりました。もう少し違う方法で手を差し上げられていればと後悔もありますが、その時はそれが精一杯でした。今もTさんとの楽しい語らいを思い出します。